今回は「告白」について勉強していきます。
告白というと、あたかも恋愛初期における最終局面のように聞こえるかもしれません。
しかしそれは大きな誤解であることを確認しておきましょう。
もしあなたが誰かから「好きです」と告白されたとして考えてみます。
相手は一ヶ月前に出会って、何度かデートしてきた青山さんという人です。
青山さんからはデート中に自然と腰に手を回されたり、あなたに好意を持っているという淡いメッセージをメールや電話のなかで受けとっています。あなた自身も、デートしてもいいと思うほどには関心を持っていて、次に会うのも楽しみな人だと彼のことを思っています。
ですが、まだ彼と真剣に交際をしたい、とまでは思っていませんし、具体的に想像したこともあまりありません。つまり「恋人候補」となんとなく考えている状態です。
さて、そのような状態で彼に、
「君のことが好きなんだ」
と告白されたとしましょう。
この場合、あなたがしなくてはならないことはなんでしょう?
(1)自分の気持ちを考えること。
(2)彼の気持ちを考えること。
(3)彼と恋人となったときの想像をして妥当性を考えること。
(4)自分の気持ちと彼の気持ち、また現実的な妥当性を照合して、結論を出すこと。
(5)相手への返事のしかたを考えること。
(6)返事を相手に伝えること。
(7)断った場合、その後の青山さんとの付き合い方を修正すること。
(8)交際を決断した場合、その後の青山さんとの付き合い方を進展させること。
詳細は個人差があるにせよ、このようなステップを踏んでいくのではないのでしょうか。
そこでこの一連の思考作業について、もうすこし考えてみましょう。
実はこのステップはひとつの連続作業のように見えて、途中からまったく種類の異なる2つの作業に別れています。その分岐点がどこであるか、もういちどこの一連の流れを読みかえして考えてみてください。それがどこであるかわかるでしょうか?
一見するとその分岐点は(4)と(5)にあるように思えます。
自分のなかで結論を出すまでと、結論を出した後のやり取りについての二段階。
自分で結論を出してしまえば、おのずと対応も見えてきますし、あとはそれを実行するだけです。なんにせよ「青山さんと交際するか、しないか」という結論を出すことが最も負荷のかかる思考作業なので、その山場を越えてしまえばあとは気が楽になるかもしれません。
そう考えるとこのような分類も決して間違いではありません。しかし相手の思考グラフを占領することを最大の目的とした場合、違う切り口でこの一連の流れを仕分けることができます。
その分岐点は、(5)と(6)のあいだにあります。
(1)から(5)までは、自分の頭のなかで考える作業です。
(6)から(8)は、実際に青山さんに相対しての行動です。
青山さんから告白されたあなたは、多少なりとも青山さんのことを考えなくてはなりません。もし交際を選ばなかったとしても「彼に失礼のないように、なるべく傷つけないように返事をしなくては」と、その返事の仕方についても考えることでしょう。ここまでが(5)となります。
賢明な読者の方はもうお気づきになられたでしょう。
この「告白」というカードは、その結果がどうであれ、頭のなかの思考グラフを大きく占領しうるチャンスとなります。
もしあなたがデートをしている相手に告白をした場合は、相手もあなたについて考える時間を持たざるを得なくなるのです。
「結果がどうであれ」なんて、告白する意味がないじゃないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。もし告白に失敗したらその先はなくなるのだから、やはり最終局面なのだとおっしゃる方もいるでしょう。
しかし、その「結果」がわからないままならどうでしょう?
たとえばあなたが青山さんに「君のことが、好きなんだ」と告白された後、
「でも返事はいましないでほしい。もうすこし自分のことを知って欲しいから」
と言われたとしたら、どうでしょう?
つまり、あなたは(6)から(8)の作業を、取り上げられてしまうのです。
告白されたものの、返事をする機会がなくなってしまう。
その場合の告白は、純粋に(1)から(5)の時間を生み出しただけとなります。
その時間は、自分の名前を相手の思考グラフに書き込むための時間なのです。
この(6)から(8)を相手から取り上げてしまうと、告白をしたのは自分なのに、関係性の主導権は自分にあるという一見奇妙な状態を作り出すことができます。しかしコミュニケーションの原則を考えればそれも当然です。
相手に返事をさせないというのは、自分がボールを持っている状態と同じことなのです。
よく「結婚はゴールではない」と言いますが、告白もそれと同じです。
「告白」はゴールではありません。
モテるための大戦略において、「告白」はゴールに近づく技術のひとつでしかありません。もし返事をもらうのであれば、じゅうぶんに名前を書き込んだ後に返事をもらえばよいのです。(しかしあくまでこの告白は相手のグラフを占領するための告白であって、交際を目的とした告白ではありません。好意表現のひとつの手法として考えてください)
ただ、この場合問題があるとすれば、告白した相手から「いますぐ交際したい」と言われてしまったときです。(ここが交際を目的とした告白と、決定的に異なるところです)
あなたが告白をする前から、すでに彼が恋愛状態に入っている場合にこのようなことが起こります。ですので、告白カードを切る場合はその見極めがとても重要であると言えるでしょう。もしあなたが相手の思考グラフにどれくらいあなたの名前を書き込めているかを把握できていれば、このようなことは起こりません。
OKされては困る。
そのような気持ちでの告白なのです。
このような時は
「でもまだ交際する決心がつかない」
「あなたのことを、もっと知りたい」
という言葉で結論を先延ばしする必要があります。
男女交際は両者の合意がなければ成立しません。それは「好き」という気持ちとはまったく別の問題なのです。
「あなたのことが、好き」
という告白と、
「あなたと付き合いたい」
という告白は全く種類が違います。くれぐれも後者の告白をしないよう気をつけなければなりません。
そして「好き」と告白して、告白相手があなたとの交際をすぐに望んでも、落ち着き払って、相手の希望を延期させましょう。
これまでの講座のなかで、相手の頭の思考グラフにもっとも効果的に名前を書き込む技術が、この「告白」でしょう。
まだ知り合って間もない状態で不意打ちのようにこのカードを使ってもいいですし、相手が予期していたところにこのカードを使って、ダメ押しにしても構いません。
大事なのは返事の内容ではなく、思考グラフへの書き込みなのです。
好意の告白は、大富豪というトランプゲームにおけるクィーンの効果と似ています。
大富豪のルールでは3のカードが最も弱く、4、5、6、とカードは強力になっていき、キング、エース、2、ジョーカーという序列が作られています。
この中ではクィーンは決して最強のカードではありませんが、ほとんどのカードより強力で、多くの場合そのゲームの流れを左右する重要なカードとなります。たとえクィーンを出してそのターンで負けてしまっても、最終的にゲームに勝つための大きな布石になるのです。
告白カードを使ったとしても、その結果は二の次です。
最終的に、このゲームに勝っていることが重要なのです。
さて今週の課題です。
いきなり「練習で告白してみましょう」と言われてもハードルが高すぎるかもしれませんね。ですが、少しずつ慣れていかなければ、このカードを上手に使うことはいつまでたってもできません。
・出会って一ヶ月以内の異性に、
「もしあなたのことを好きだといったら、どう思う?」
と尋ねる。
まずはここからはじめてみましょう。
できれば面前で、しかも唐突に投げかけてみることをお薦めします。唐突であるほうが効果的ですし、会っているときであれば相手の反応を学習できます。しかし面前が難しいようであれば電話でも構いません。(ですがメールでのやりとりは避けてください。あくまで反応を学習することに重点を置いてください)
モテている女性が必ずみな告白しているわけではありませんし、モテるために絶対に必要なカードというわけでもありません。しかし自分の選択肢を増やしておくためにも練習を重ねて技術を身につけてください。
皆さんは、キスの仕方を誰から教わったか覚えているでしょうか?
キスは恋愛と同じく、学校の授業では教わりません。
しかし多くのかたは学生時代に誰からか教わるものです。それはおそらく初めての恋人であり、それからも他の人とキスをしていくことで、自分のキスというものをすこしずつ確立されていくのではないでしょうか。
キスはいうまでもなく、恋愛の過程におけるもっともロマンティックな瞬間のひとつです。
いちどキスをしてしまうと、なかなか「キスをする前」の関係には戻れません。お互いの存在の意味を変えてしまうほどの力を、キスは持っているのです。
この講座の最後の項目はこの「キス」についてです。
キスはお互いが恋愛状態にある場合には最高の愛情表現のひとつですが、恋愛技術としてみたときにも大変に重要な手段となります。今回はその技術である「キラ☆キス」について説明します。
見出しにあるこの「キラ☆キス」とは、キライキスのことです。
キライキスとは、簡単に言ってしまえば「キライ!」と言いながらする「キス」のことです。イメージできるでしょうか?
もうすこし例を出すと、
「キライ!」とか
「バカ!」とか
「興味ない」とか、あるいは、
「死んじゃえ」
というネガティブな言葉を使いながら、自分からキスするシチュエーションのことです。
口にしている言葉と、している行為がまったくの正反対ですね。
このように同じタイミングで好・悪が正反対の表現をしても、メリハリをしっかりつけたデジタルな表現であれば、恋愛ではその表現は好意的にとられます。
プラスとマイナスが同時に出た場合には、恋愛ではプラスになるのです。
じつはこのことは、キスだけに限ったことではありません。たとえば手を繋ぐ、腕を組む、頬を寄せる、なんでも同じですが、ポジティブな行動と、ネガティブな言葉が同時に表現された場合、ポジティブなアクションが強調され、ネガティブな言葉は『本心の裏返し』と捉えられます。
たとえばあなたが誰かに抱きしめられるシチュエーションを想像してみてください。興味がある相手に急に抱き寄せられたとします。その際に彼が、
「好きだよ」
と言って抱き寄せるのと
「バカ」
と言って抱き寄せることの間には、実はそれほど意味に深い違いはないのです。逆に、好きだという想いが強調される可能性のほうが高いのです。
この「キラ☆キス」やそれに類する行為は、単純にそのときに口にする言葉の違いだけで、あまり難しい技術ではありません。しかしどうしても恥ずかしさが付きまとってしまうものです。
ですが、いちど実践で使ってみるとその効果が肌で感じられると思います。
はじめから「キラ☆キス」の練習という訳にはいきませんが、簡単なボディータッチから練習をはじめて見てください。
また間違えてはならないのは、この「キラ☆キス」とは逆に、ネガティブな行動と、ポジティブな言葉の組合せは、「キラ☆キス」のような効果はもたらさないということです。
たとえば、
「好きなのに」
と言って走り去ってしまうのは、一見すると効果的に好意を表現しているように見えますが、実際につかえるタイミングは非常にシビアです。すでにお互いの関係性が確立されている場合を除いて、ほとんどは上手く機能しません。
2ヶ月のあいだつづいてきたモテるための恋愛ドリル、いかがだったでしょうか。
なかには抵抗のある練習や、納得のいかない理論、なかなかつづけることが難しい練習があったと思います。それでも2ヶ月間つづけてきた方は、それまで出来なかったことや気づかなかったことなどを、自分で把握できたのではないでしょうか。
そしてもちろん本講座は「モテるための恋愛ドリル」ですので、以前と比べて周囲の男性との距離が近くなり、好意を受けるようになっているのは当然のことです。そして本講座で述べた練習を重ねていくことで、あなたの技術はより洗練されていくことでしょう。
またここで書かれているのはあくまで基本的な恋愛技術であり、こまかいシチュエーションごとで効果的な技術も多数存在しています。それらも基本にのっとり練習だと割り切って自分からトライすることで、自分だけの恋愛技術を身につけることができます。
自分で勝ち取った恋愛技術はあなただけのものです。
そしてそれはなかなか錆びることはありません。
しかし一方で、もうお気づきのようにきちんとモテていくためには、自分自身は恋愛から距離を保っていなければなりません。モテているが故に、自分の恋愛とはしっかりと向かい合えないというジレンマは、このようにして起こります。
本講座はモテるための恋愛ドリルです。
でも、なんで自分はモテたいのでしょう。
そこのところをつねづね思い返すようにしてください。
モテていくことで、恋愛技術を身につける。
モテることが目的ではなく、本当の恋愛を手に入れることが目的だと。
いつかあなたが運命の人に出会え、その人とスムースに恋に落ちていけることを心より願っています。